iOSランキングにみる、世代交代の色くっきり…
2012年2月下旬にパズドラがリリースされ、そのヒットを受け各社がフェイクモノの開発に着手し、第1期パズドラフェイク大量リリースとなったのが2012年11月〜2013年初頭でした。
ロードラが2012年11月頭、そして11月末にはドラゴンコインズ、魔女大戦クロニクル、12月にはバウンドモンスターズ、ディズニーマジシャンクロニクル、パズルロワイヤル、怪物クロニクルバトル、クイズAnswer X Answer、ミリオンサマナーなど多くの脱カードバトル、脱ブラウザの作品が出てきた時期でした。
あれから約1年、上記のタイトルも半数が死に体となるほど過酷な市場ですが、iOSのトップセールス100に絞って追いかけてみました。
※上記写真は沙羅双樹の花ですw
2013年1月5日:売上上位はまだまだカードバトル1色
これはiOSのトップセールスランキングの2013.01.05のデータです。パズドラ1位、LINE POP2位、不良道3位・・・と続きます。
赤塗りはカードバトル/ギルドバトル、青塗りはF2Pと言うかパズドラ型、緑塗りはLINEゲームという分け方をしてみました。
30位以内にはカードバトル系が21本、実に2/3以上。
既に無料DLランキングで猛威を振るうLINEゲームとは言え、トップセールスでは30位以内にはまだ3本。100位まで広げると4本追加で計7本。
また、リリースして1〜2ヶ月経った第1次パズドラフェイク系はドラコイが頑張って30位以内をキープするものの、ロードラはバランスミスって後退、バウモン、サモマスのブシモ勢もゲーム内容がついてこず100位以内がやっとという感じでした。
100位以内でカードバトルは56本、パズドラフェイクを含む非カードバトル系ネイティブは9本でした。
2013年4月1日:もはや時代はネイティブ論、売上はまだまだカードバトル
3ヶ月経った春休みど真ん中、2013.04.01のデータです。赤ばっかりw
30位以内にはLINEゲームが5作入ったものの、依然カードバトル強しで、ブラウザVSネイティブ論争で時代はネイティブと言いつつ売上上位はカードバトルばかりでした。
100位まで見ても、非カードバトルは9本と1月と同じでした。
ただし、30〜80位に7本の非カードバトルが入り、さらにドラコイのように30〜120位と振れ幅の大きいものも出始めました。
4/1のデイリーで取っているのでドラコイも100位以下に沈んでますが、30日移動平均で取れば100位以内に入ります。このような非カードバトル系が2−3本あるので、体感的にも非カードバトル、ネイティブ強しの印象が出てきた時期でした。
2013年7月1日:明らかに状況が変わってきた夏
さらに3ヶ月が経った2013.07.01のデータです。明らかに色が変わってきましたね。
ラブライブのヒットに驚かされ、遅れていたドラポ、iOS版が出て軌道に乗ったウィズ、パズドラコラボで一気に普及したクラクラ、SEGA渾身のぷよクエなど、一気にトップ10を伺うタイトルが出てきました。
また、LINEゲームもしっかり5作品が入ってくるので、必然的にカードバトルが押し出されていきます。
ちなみに31位にドラコイ、43位にダービーインパクト、44位にケリ姫と、50位までに非カードバトルが10作品もランクインし、さらに100位まで広げると18本と一気に攻勢に転じます。
また、1週間メンテでスタートで苦しんだブレイブフロンティアがリリースされたのが7月頭、チェインクロニクルが8月頭のリリースで、クオリティの高さから双方爆発的にヒットし、業界&ユーザー双方のド肝を抜いたのもこの暑い時期でした。
2013年10月1日:カードバトルで上位に残るのは僅か
そして先月、2013.10.01のデータです。さらに青が増え、上位も青が中心になってきました。
30位以内の赤は11作品と1/3まで減少、うちスポーツが4本、釣りスタ入れたら5本w。
押し出される感じで31位〜100位は赤ばかりなので、一気にダメになったのではなく、ジリジリと押し出されてる感じ。
この厳しい状況の中、カードバトル系で2013年リリースモノで唯一20位以内を突っ走る「戦国炎舞」の凄さだけが抜けて目立つように・・
横に並べると一目瞭然
さらに今月の1日のデータも付けて、30位までを並べるとこんな感じ。ただ本来なら30日移動平均線で並べるべきなんですが、そんな暇なことやってられないので1日抜き出しにしました。
1日は月初で稼ぎ時なので、多くのタイトルでブッコミイベント(SR超絶アップ系の)をやりますし、それに合わせてプロモーションかけたりしてるので、そういうクセのある作品や予算のある会社の作品が一時的にランクインしている場合があります。
100位まで並べてみた
まあ何となく色だけ見ていただければw簡単にまとめると、
・トップセールス50位以内を目指す大ヒットは、スマホに限って言えば主流はパズドラ型、もしくはリッチ型に完全に移行してきている
・50位〜150位くらいに、押し出された既存のカードバトルが多くいて、本当に面白い作品でないと安定して100位以内には入れない市場になっている
・国内スマホ向けに2013年にリリースしたカードバトルは多くが厳しい結果になっている
・LINEゲームがもっとランクインしてくるかと戦々恐々だったが、トップセールス面ではあまり伸びず、今後もこの傾向は変わらない気がする
こんな感じでしょうか。
ソシャゲやカードバトルはガラケー文化だからこそ流行ったのであり、スマホで”ゲーム”をしたい層とはマッチしずらいのですが、セールス面でも今年の夏頃からそのような結果になりつつあるのかなと。
2013年4月から11月で大幅にランクダウンしたタイトル
繰り返しますが、あくまでデイリーデータの切り出しなので移動平均値ではない点、相対ランクなので売上の絶対額とは一切関係ない点はご承知おき下さい。ただまあ同じ1日定点ですし、7ヶ月のデータを俯瞰した上での考察ではありますが・・・
春から比べて、スポーツやIPモノでないドラリーXや戦国炎舞のこの順位は脱帽です。凄いっすわ。
下げているのは、釣りスタ、ドリランド、単車の虎。
Donutsさんは単車の虎だけなので、ガラケーがまだ安泰とは思うけど、スマホ版の失速はこの先半年で超加速するはずで大丈夫なんでしょうか・・とかいらぬおせっかいw
あと、LINE系は課金が長続きしないようで、上位に長く居座る作品は少ないかも。
31位〜60位ゾーンでは、不良道、仮面ライダー ライダーバウト、ガーディアンバトル、クランバトル、ドラコレ、三国インフィニティ、ガンダムロワイヤルなどが割と大き目なランクダウン。
注目すべきはポケラボさんが三作品ともこのレンジに下がってきていることでしょう。
2013年は、魔界学園カタストロフィー、ソードオブファンタジア等の新作ネイティブカードバトルが50位前後に入りさすがの印象。
ただ、失速も早めで、今後長く稼げるかはちょっと微妙な感じに…
また、年末年初のミリオンサマナー、パズルビーストも空振りしてしまったので、大きなヒットが出せないまま稼ぎ頭のガーバト、クラバト、三国インフィニティの3本が揃ってランクダウンを続けているのは危険信号ではないでしょうか。
とは言え、100位以内の作品を作るのも大変なので、カタストロフィーやソードオブファンタジアをきっちり100位以内にもってくるのはさすがと思う反面、ポケラボさんのやり方のままではその上を狙うのは厳しいという気も。
まあ、50〜150位くらいで常に数本運営できれば十分という考え方もあるでしょうし、コストを抑えられればアリかもしれません。個人的にはそんな甘い考えではもたないとも思いますけど。
ギルティドラゴン、恐竜ドミニオン、バルバロッサ、ロード・オブ・ザ・ドラゴンなど、50位以内常連だったカードバトルが軒並み100位すれすれになってきています。
さらに驚くのはミリオンアーサーとバハムート。月初でこの位置というのはさすがに切ない・・
ゲームの寿命ももちろんあるわけですが、ミリアサのこの状況は、如何にユーザーの信頼を裏切ると取り返しが付かないか思い知らされます。運営変わっても10位以内に入れないままズルズル下がりだしましたね。。
海外では順調だけに余計に国内の現状が気になります。
バハムートは・・・これも国内ではもう賞味期限切れとも思うけど、スマホでカードバトルのアンマッチを象徴してる気がしなくもなく・・・
一方で、最近リリースされたカードバトル系で100位以内に入ってきたのが、ガルロワとモンハン。
ガルロワはこの順位でも決算でトップが大幅な赤字の戦犯認定しちゃったので、今後はプロモーションもあまりされないまま収束しそう。
■ファンタジスタドール ガールズロワイヤル レビュー アニメの世界を丁寧にゲームにしてるよ!
モンハンはメインコンテンツが鯖不安定で未実装でもこの順位はさすがIPの力。
とは言えカードでギルドバトルの廃課金仕様でがっかりするも、課金は伸びそうで複雑。
こういうのがビジネス的に当たってしまうと、ますますこの手のものばかりになるのでチョイ当たりにしてホスィ・・・
とまあ、取り留めもなく書いてきましたが、今年の夏を境にスマホでは一気にユーザーがシフトしています。
上位にランクインしているカードバトルがほぼ2012年リリースのタイトルで、ごく一部を除いてジリジリとランクを下げているのは明らかです。今年リリースされたスマホ向けカードバトルで100位以内安定している作品は本当に少ないですね。
ガワネイティブはもちろん、ネイティブでも中途半端なカードバトル系育成モノ、廃課金ガチャモノはもうスマホでは受け入れられる可能性が低くなっていますし、重いだけの3Dドヤァ系も論外です。
この流れはiOSだけでなくAndroidでも同様でしょう。
まだまだ多いガラケーのソシャゲユーザーを取り合って、そこで固く稼げるならカードバトルはアリだと思いますが、世界も含めたスマホメインでビジネスするなら早くカードバトルやギルドバトルから脱却できないと厳しいとは思います。海外では国内以上に失速は早いと思いますので。
4月と7月で雰囲気がガラリと変わったように、ユーザーのシフトは雪崩のように一気に来ますので、今年の年末商戦向けに新しい遊びを提供できないところは厳しくなるような気がしています。
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@J_Kumagai
Axel Games運営者兼ライターの熊谷です。
スマホゲームに特化して遊びまくっています。
なお、現在Axel Gamesではライターさん募集していますので、もし興味ある方いらっしゃいましたらメール下さい!(axelgames00[@]gmail.com)
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アンチカードゲームとはいえ、あからさまなポジショントークですねw
事実として2013年になってからはオーソドックスなカードゲームのリリース数よりパズドラ型の方がはるかにリリース数は多く、セールス的な視点からの死亡率は高いでしょう。
あれだけカードバトル以外のゲームがリリースされ大量のプロモーションがされれば、当然ものによってはユーザーを獲得することもあり、それでカードバトルのユーザー離れとは言えないのではないでしょうか。
また、相対ランキングであることを指摘されていますが、そもそもセールスランキングとは言え実際には売上だけではなく、DAU、レビュー評価数、直近の売上の平均を考慮したランキングになっている事実はあえてスルーされているのでしょうか?
基本的にDAUが多く毎日同額の売上げがあがる方がランキングは高く、イベントドリブン型のゲームはセールスランキングを維持しにくくなっているということも大きいですよね。
コメントありがとうございます。
書きたい内容があってブログを書いているので、いずれの立場に立とうともある程度ポジショントークにはなります。
またおっしゃるようにランキングロジックに関しても、各所で検証され売上金額以外の要素が関係していると思います。
が、Appleが正式に公開していない以上、ここを深堀りしても各々の検証からの推測の域を出ないと思います。
ロジック自体もある程度のスパンで見直し入ってるでしょうし。
書きたい内容、流れを分かりやすく伝えるには、話の主眼を1つにして視覚的に見せるべきだと思っています。
ですので、トップセールスのデイリーランキングと断った上で、それを色分けで視覚化してみました。
私は調べてませんが、おっしゃるように今年はカードバトルよりも非カードバトルのリリースが遥かに多く、DAUや直近の売上も多いのかも知れません。しかしこれにより非カードバトルのランキングが上位に来ているのであれば、それこそが市場のニーズを表しているのではないでしょうか。
ニーズがなければ新作のリリースは減りますし。
イベントの時しか課金されないのはカードバトルに限ったことではなく、非カードバトルでもソシャゲ運用なタイトルはSR超絶アップ時と広告投下時しかランクが上がってないと思います。月初の1日でデータを取ったのも、イベント売上の高いタイトルがある程度上位に来るだろうと予測してのものでした。
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